料理はするが、下手というのが一番タチが悪いという話
どうやら自分は料理が下手、らしい。
らしいという部分には「自分では認めたくないのだが、指摘されたのであれば認めるにやぶさかではないよ」という謙虚な姿勢の現れである。もっと褒めて欲しい。
料理が下手と言うと、まるで普段から全く台所に立たないようなイメージを持たせるが、別にそんなことはない。
むしろ料理は「好き」と言える位で、休日は3食作っても構わない程だ。
そうなると「料理下手」という評価は、自分のことをよく知らぬ、他人の誹謗中傷かとも思うのだが、その評価を下したのが再直近にある妻なのが困りどころである。
例えばである。
最近、胃腸の、調子が悪そうな妻だったので、「取り敢えず食物繊維であろう」とキノコを大量に購入した。
これらを佃煮にでもしてしまえば、常備菜にもなるというナイスアイディアである。
そして、さっそく皆さんご存知の楽天レシピを起動する。
膨大なレシピの中で、自分がチョイスする基準は「工程が5個以下」である。
必要な調味料は唐辛子、醤油、みりんのみという理想的なレシピをサルベージし、調理を開始した。
まず、唐辛子をいれ、みりんを投入。
続いて醤油を入れるところで、ふと閃く。
「減塩したほうが健康ではなかろうか」。
妻の健康にも気を使うこれまたナイス判断だ。
そうしてレシピの半量醤油を投入することとして、ふと気がつく。
そうなると、やはりバランスは取らねばと思う。
なんとなく、そこらにあった料理酒を追加で入れてみたりした。
出来上がったキノコの佃煮を食べた妻のコメントは以下の通りである。
「甘い。お菓子みたいな味がして気持ち悪い」
調理の工程を説明して弁明を図ったところ、
「麺つゆを使えば」
…漫画やアニメによく登場する「料理下手」は、キッチンで爆発させたり、紫色の塊を出したりする。勿論、リアルにそんな奴はいない。
いるのは一見してなんの変哲もない顔をした、失敗作を差し出す、自分のような奴である。
「オレ、普段から自炊するんだよねー」という奴が出す料理には、多少警戒したほうがいいだろう、という話である。