お芋様は、我々の高さまで降りてきてくれるジャニーズ的存在。
今週のお題「いも」である。
芋が好きだ。
むしろお芋様と呼ぶべき存在と言っていい。
しかし世間一般では、お芋様の扱いはあまり良くなかったりするのが謎である。
そもそも大概の一般家庭において、お芋様は、馴染み深い必須の食材といえる。
サラダ、煮物、カレーの具。
洒落た家ならヴィシソワーズなんぞも作るかもしれない(ウチでは出ない)。
貧乏学生から上流階級まで、食卓に登場可能なポテンシャルの高さを見るがいい。
さらに、夕食の献立だけではない。
レクリエーション部門においてもその活躍が光る。
縁日の屋台では、ジャガバタは欠かせない。
バターたっぷりの(マーガリン?知るか。美味けりゃいい)ジャガイモは、正義の体現である。
友達が集まったのなら、取り敢えずのポテチやじゃかりこだ。袋を爆発させて笑いこげるのも良き思い出となろう。
スイーツ系にも隙はない。
古くは焼き芋、芋まんじゅう。
大学芋からスイートポテトまで、時代を超えて愛されている。
そしてさらには、エンターテインメントの世界においても、お芋様の活躍は止まらないのだ。
最近流行の異世界なにがしを一例にあげると、「食糧難といったらコレだぜ!目には毒があるから気をつけてな!」と主人公が差し出すのは、そう、お芋さまである。どんだけ万能なんだよ。
ここまで紹介しただけでも、その優秀さは十分伝わっていると思うが、ここで、お芋様の扱いの話となる。
例えば「貴方はまるで、松茸のような方だ」と言われると、よく分からないが満更でもない気分になる。
一方で「貴方は芋のような方ですね」と言われると、要するに「この芋野郎が」と言われている訳で、なんなら丁寧に言われた分、より一層腹正しい。
前述のごとく活躍しているのに、なぜ「いも」という単語には、どこか泥臭い、使えないような悪口めいた雰囲気が出てしまうのだ。
かくいうお芋好きの私だって「ハイ!イモボーイ!」と出会い頭で言われたら、手が出てしまう自信がある。
思うに、お芋様はその有用さを鼻にかけない所が、最高に格好いい所である。それが、仇になったのではないか。
庶民にも貴族にも、祭りにもホームパーティーにも、子供からお年寄りまで。
貴方のニーズに答えます、という尊い姿勢を貫きすぎて、「どこにでもいる」=「そんなに価値がない」と錯覚されてしまったのである。
お芋様がこの立場を脱却するには、もう、絶滅危惧種位にまで希少性を高めるしかない。
世界お芋様協会(そんなのがあれば)が動き、芋が高級食材となった未来、我々は昔語で孫に話すのかもしれない。
「ーーむかしむかし、お芋様という野菜があってな。よく育ち、保存がきき、主食にもオヤツにもなる魔法の野菜だったのじゃよ」みたいな。